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プラダを着た悪魔〈下〉プラダを着た悪魔〈下〉
ローレン ワイズバーガー
早川書房 刊
発売日 2006-10



映画はまだ見てません。評判もよいようですが、小説も面白いですよ。
求めすぎるとなんだか違う、と思うかもしれませんし、
アメリカの小説だなあ・・・・と感じたので、いかにも翻訳モノという感じはしますが
難しいところは何もないので単純にサクサク読めるし、ぐいぐい読んじゃえます。
自分の世界とはかけ離れて違う部分だらけだと感じましたが
要は前向きな主人公とこんなのありえない、そんな上司のストーリーです。
ブランド名も実名なので、あれこれ想像しつつ結構楽しめます。
途中までコメディかと思ったくらいでしたが、上下巻を通してよむと、結構深くなってきます。
最後に私が思ったのは
やっぱり誰も見てないと思っても、見てるヒトは見てるんだなあ・・・ということと、
自分は騙せない、ということ・・・・。
最後まで読んできっとすがすがしい気持ちになりました!


作者は元「Vogue」のカリスマ編集長のアシスタント担当。つまり、実体験を基に本作は書かれている。アメリカ人が好む典型的なサクセス・ストーリー(変身もの)である。その上、ファッション界という華やかな舞台なのだから、受けない筈がない。巧妙な企画である。当然、映画化もされ、こちらもヒットした。束の間の夢を見たいという方には充分な内容であろう。

しかし、日本の女性の働く環境を考えると、正社員の他、派遣社員、嘱託社員、パートと形態は様々である。その中で、上司の理不尽な指示に唯々諾々と従ううちに、上司の真意を理解し、自ら人間的な成長を果たし、しかもファッションに目覚め、美しく変貌を遂げるという事があり得るだろうか。「現実にはあり得ないからこそ、小説や映画に夢(理想)を見い出すんだよ」と言われれば"ごもっとも"という他はない。しかし、私はそこに作家の残酷性を見るのである。小説(映画)を読んで(観て)、束の間夢を見られても、次の日会社に行けばイヤでも現実と直面せざるを得ない。却って夢と現実のギャップの大きさに落胆が増すのではないか。映画の方が分かりやすいが、ヒロイン役のA.Hathawayは変貌する前から既に美しいのである。これでは白けてしまう。そして、作者自身は確かに成長を遂げて、こうしてベストセラー作家になった。私ができるのだから、あなた(読者)にもできるのよ、というメッセージは励ましのようでいて、酷なリクエストだと思う。

ファッション界という華やかな舞台を用意し、女性の夢と憧れに狙いを定めて商業的成功を図った功利的作品。


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